水辺の楽しみ

35年前から大阪の川を見つめてきた『喫茶艇CABIN』

湊町から四ツ橋筋を北に歩き、道頓堀川にかかる深里橋を渡り始めると、川面にデッキを張り出した喫茶店が見える。「喫茶艇CABIN」だ。橋を渡り切ると右手に入口があり、ここから階段を降りていくと、木製の家具・内装で落ち着きのある空間が現れる。

IMG_2275.JPG cabin2.jpg右: 店内風景(丸窓の向こうに川面が見える)


名前のとおりキャビン(船室)をイメージした店内は、帆船の模型や舵輪が飾られ、日立造船製造の丸窓が目を引く。
 CABINのある川西湊町ビルは、1935年(昭和10)に建てられたいわゆる近代建築物だが、あまり古さを感じさせない。CABINが入居したのは今から35年前で、当時はある喫茶店チェーンの1店舗であったが、18年前からは現在の店長・平谷さんご夫妻が経営している。

 「建物が建ったころは、材木屋の船や船場商人の舟遊びの船が行き交っていたと聞いています。CABINが出店したころも、西横堀川はまだ埋め立てられる前でした。当時はビルに船舶の停泊権が付いていたので、お店からクルーザーに乗り込んで海にも出て行ったものです。ただ、そのころは道頓堀川水門がなかったので、台風で川が窓の高さまで増水したことや、引き潮の時に川底のヘドロがひどい匂いを放つこともありました。水門が出来てからはそんなこともなくなり、水も随分と綺麗になりました。最近では橋の向こうに湊町リバープレイスが出来て、人の流れも風景も随分と変わりました」と平谷さん。周辺の開発も進み、約40席の店内は朝と昼は満席である。

 cabin1.jpg川面に張り出したデッキ   cabin3.jpg帆船の模型や舵輪を装飾


ところで、水面に張り出したデッキはCABINの出店後に取り付けたもの。もともと装飾のつもりだったが、5年ほど前にビアガーデンとして使用したこともある。 ただし、「床が鉄板で暑いんですよ。明かりに誘われて虫もいっぱい寄ってくるし」(平谷さん)ということで、2シーズンでやめてしまった。しかし、TVドラマ『西部警察』で、犯人がデッキから船に乗って逃げるシーンを一日がかりで撮影したこともあると言う。やはり、CABINのトレードマークであることに変わりはない。

丸窓から川面を眺めながら本格喫茶で過ごす時間は想像以上に贅沢だ。「朝のラッシュ時間を避けて通勤されるお客さんもいますから」と、朝7時から営業する心配りもうれしい。「商業立地としては恵まれているとは思いません。でも、景色はいいし、20年くらいの常連さんもいます」と平谷さん。川辺の静かで落ち着きのある空間と店長の人柄に、常連客を引きつける魅力があるようだ。

ショップデータ

大阪市西区南堀江1-4-10 川西湊町ビル地下1階
電話 06-6535-5850
営業時間:7時~19時
定休日:日・祝日

東横堀川に面したおしゃれなフレンチ&イタリア料理店
Dining  APPLIQUE

アプリケ.jpg東横堀川にテラス席が。東横堀川を船で下ると、平野橋をくぐってすぐ左手に、川面に向かって突き出したテラスが目に飛び込む。夜間であれば、闇の中でそこだけが煌々と明かりが灯り、別の世界が在るような印象を受ける。
フレンチ&イタリア料理のお店「Dining APPLIQUE」だ。
アップリケ.jpgAPPLIQUE

針原さん2.jpg APPLIQUEが、この地にオープンしたのは平成14年9月。オーナーの針原さんご夫妻が、北浜のまちの景観や歴史に魅かれて物件を探し始めてから3年が経っていた。そして、天神祭のドンドコ船が目の前を通った時に、「ここで商売するには川向きだ」と確信した。「川が好きでたまらない」と言うご夫妻は、「船のお客さんとひとつになれる」とも言う。

 デッキ席.jpgテラス席お店のシンボルでもあるテラス席は、床張り以外はすべて手作り。温室効果で室温が上がりやすいので、カウンターだけの狭いスペースにクーラーが2台設置されている。穴場スポットとしてカップルに人気のテラス席だが、仕事帰りのビジネスマンやOLもよく利用する。テラス席に気づいていないお客さんに食事の途中で見せてあげると、デザートだけをテラス席で楽しむこともあるそうだ。いつもテラス席を予約するお客さんも少なくないが、針原さんはそれだけではダメだと言う。「何度も来ていただくには、おいしい料理と心に残る接客が大切なんです」と話す針原さん。飲食業25年の経験が語らせる。

カウンター.jpg

 APPLIQUEのお客さんは年々増え続けている。出店した当時、まちの人たちから「北浜では5年続いたら老舗や」と言われたそうだが、すでに5年を越えている。「船の往来がもっと増えればもっと楽しくなる」「堤防まで床を伸ばして、テラスに対面型の座席を設けたい」「川に向いた店がもっと増えることで、もっとこのエリアに人が来て賑やかになってほしい」と語る針原さんご夫妻の笑顔には屈託が無い。

キーマカレーと温泉卵のピツァ.jpgキーマカレーと温泉卵のピツァ

 取材中に何度も魚が川面を跳ねた。フナ、コイ、ボラが棲んでいると言う。大阪の川の水も随分ときれいになったものだと思う。

ショップデータ

大阪市中央区内平野町3-3-4
 電 話   06-6947-7887
 ランチ   月~金 11:30~14:00
 ディナー  月~土 18:00~23:00(ラストオーダー22:30) 
 定休日   日曜祝日、毎月3日・10日

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